スペシャル対談
対談のお相手
理事長兼院長 川口 陽太郎先生
―まず、丹沢病院の理念についてお聞かせください。
「当院の理念は『寛之宝(優しさと寛い心で人に喜ばれる医療を目指します)』です。患者さんを大切にし、病院の考え方や方向性を理解して、みんなと意見を一にして一緒に行動していくことが大切だと考えています。」
―丹沢病院はどのような患者を中心に診ていますか?
「特に多いのは『統合失調症』『躁鬱症』。『認知症』も増えています。合併症患者も多いですね。薬物患者は基本的に受け入れておらず、アルコール中毒患者もほとんどいないです。薬物・アルコール中毒については、県の依頼で他の病院と輪番制で受け入れることもあるが、大抵専門の病院を紹介します。また、症状が多岐にわたる人格障害患者も基本的には専門の病院を紹介する形をとっています。」
―丹沢病院の特徴は何ですか?
「合併症患者を広く受け入れていることでしょうか。神奈川県は合併症患者に対する理解は進んでいる地域であるが、それでもまだ偏見などもあって他の一般病院ではなかなか受け入れてもらえないのが現状です。しかし当院では即時対応ができます。急性期の患者やかなり困難な症状の患者の場合もいったん受け入れて、症状について判断した後、大学病院などに搬送する手続きをとります。」
―合併症患者への受け皿となって、広く患者を受け入れているのですね。院内には合併症患者専門病棟があり、精神科で診ているということですが…
「元々私自身が内科医で、かつ現在は精神科の指定医でもあるので、内科医が常駐できているんです。ストレスから来る内科的疾患と精神科に関わる疾患の境界はなくなりつつあるので、両面の観点から治療にあたれると思います。」
―精神科への偏見がまだまだ根強い中でそのような運営に取り組んでいる病院は数少ないですね。しかし、病院が直面している問題点はやはりあるのではないですか?
「長期療養をしている患者にとってはもはや病院が生活の場となってしまっていて、病院では、経済的にその維持が困難になりつつあります。ゆくゆくは急性期の患者を徐々に受け入れてもいきたいが、やはりメインは統合失調症や認知症、そして合併症の患者です。現在、精神科は常勤の指定医4名に非常勤の先生がいる、という構成ですが、病棟の形態の変化や多様化を検討していくためにも、常勤の医師をもっと増やしたいですね。」
―なるほど。では最後に、丹沢病院の求める人材についてお聞かせいただけますか。
「非常勤の場合得意分野での治療にあたってもらうことが多いのですが、その人が辞めてしまうと新しく引き継いだ人の治療方針に変わった結果、治療法の継続が難しくなることがあります。しかし常勤の場合、その先生の診療方針に合わせて患者を任せることができます。だからこそ、ぜひ常勤の先生を希望します。また、常勤の方には夜勤などもしていただいて、病院の運営状況を一層理解してほしいです。昔と比べて、病院に対する帰属意識の薄い人もやや増えているように思いますが、やはり先生は病院の『柱』。先程も申し上げたように、病院の理念と共に歩んでくれる人、一所懸命さや熱意の見える人が望ましい。どんどん動いてくれて、職員を引っ張っていってくれる人に来てほしいです。」
丹沢病院は、私が学生時代に相撲の合宿でお世話になった病院である。創立者も現理事長(創立者のご長男)もともに慈恵医大の相撲部のOBである。
何といっても精神科の患者にとって厄介なのは、合併症を起こしたときであろう。一般社会人より医療関係者のほうが、彼らに対しての偏見の目が強い。そんなときの受け皿としては、最高の病院と言える。
院内には合併症患者専門病棟があるし、元々は院長も内科の専門医であるので、各臓器の専門家が常勤でいるのが強み。現代のストレス社会では、内科と精神科の垣根がなくなりつつあるので、身体と心の両面を勉強したい若い医師には、最適の病院と言える。
若いときにはぜひこういう病院で、病気だけをみないで、その患者の人間、人生全体をみる訓練を積んでほしい。
職員の意識も大変高い。
医師・ジャーナリスト 富家 孝(ふけ たかし)
当院について
名称 | 丹沢病院 |
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理事長 兼院長 |
川口 陽太郎 |
病院理念 | 「寛 是 宝(かん これ たから)」 優しさと寛い心でひとに喜ばれる医療をめざす。 |
基本方針 | 恵まれた自然環境の中で患者様が心身共に癒される病院作りをめざす。 新しい時代の人権意識と誠意を持って患者様中心の病院作りに努める。 地域社会の期待に応え地域に貢献する病院作りに努める。 人としての成長を心がけ職種間の連携を大切にしたチーム医療を推進する。 専門職としての倫理に基づき知識と技術の向上に努める。 |
外来受付 | 診療時間 1.精神科 月曜~土曜 受付 午前9時~11時30分 診察 午前9時15分~12時 2.内科 月、火、水、金(午前あるいは午後) 事前に問い合わせが必要 3.精神科デイケア 月、火、水、金(週4回) |
病院職員 | 245名(非常勤を含める) |
病床数 | 精神一般 196床/精神療養 157床/痴呆療養 59床 合計 412床 |
TEL | 0463-88-2455(代) |
HP | http://www10.ocn.ne.jp/~tanzawa/ |
診療科目 | 診療部 医局 常勤医6名、非常勤医16名(精神科医17名、内科医4名、皮膚科医1名) 丹沢病院で対応できない、手術等必要な患者は秦野赤十字病院、くず葉台病院、聖マリアンナ医大病院、東海大病院、地域の開業医の先生方のお世話になっている。 栄養管理室 16名。一日約1200食。 ①365日朝昼晩3食を1食もかかさず提供し続ける ②長期療養患者が多いため食事に楽しみを付加させながら栄養管理を行う ③衛生管理を確実に実施する 作業療法室 OTR 8名、OTA 1名、デイケアOTR 1名、痴呆疾患療養病棟OTR 1名、 精神入院OT 7名 患者が自分らしく主体的で生き生きとした健康的な生活を送るための、リハビリテーションを行っている。 規則正しい生活リズムを身につけること 楽しみを見つけ、充実した生活にすること 運動不足を解消すること 気分転換をはかること 集中力をつけること 人とふれあう機会を増やし、対人関係・協調性を高めること 自立性、活動性、主体性を高めること 自分にできることを確かめ、自身につなげること 業務内容は園芸やカラオケ、陶芸教室、料理教室など。 デイケア 精神科医師、看護師、臨床心理士、作業療法士、精神保健福祉士の各1名 合計5名 入院せずにいる人が様々な事情により、仕事に就けなかったり生活上不都 合があったりした場合に、生活リズム、基本的な生活習慣を身につけながら社会参加を目指す。 長期目標「社会復帰を促し、活気あるデイケアにする」 臨床心理室 臨床心理士2名(常勤、非常勤各1名) 心理アセスメントとして心理検査、心理面接を心理療法としては集団療法、カウンセリングをしている。その中の集団療法には5つの種類がある。 1)集団精神療法 2)遊戯療法 3) 回想法 4)音楽療法 5)SST(生活技能訓練) 今後の方針:精神科リハビリテーションとしてSSTを外来や各病棟で行うこと 臨床検査室 臨床検査技師1名(診療放射線技師が交代でやってくる) 検体検査は外の検査センターに任せ、主に患者に直接する生体検査を行う。 看護部 看護職員数158名(看護師37名、准看護師67名、看護補助者54名) |
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